RSD
反射性交感神経委縮症。突き指や骨折等の神経への刺激が発端となって、交感神経の異常なまでの興奮が起こり血管を収縮すること。
異議申立
日本の行政における不服申立て方法の一つ。行政不服審査法(以下法と呼ぶ)に規定されている。交通事故の場合は、後遺症の等級認定に不服がある場合にもこの用語が使用されます。
公安委員会に対する異議申立
免許取り消しの処分がなされた場合、この処分に不服のあるものは、運転免許の取り消し・停止処分については行政不服審査法(以下「行審法」)4条1項ただし書きの各号に該当しないので行審法1条2項により不服の申立ができるとされています。その方法としては同法6条により公安委員会に対する異議申立を行うことになります。ただし、処分があった事を知った日の翌月から起算して60日以内に行わなければなりません。
慰謝料
精神的損害に対する損害賠償金のことをいいます。慰藉料とも書きます。精神的損害とは、所有物の破損等の財産的損害(しばしば、「物損」といいます)に対する概念であって、肉体的苦痛、悲嘆、恥辱等の精神的苦痛をいいます。不法行為の領域においては、身体侵害・自由・名誉侵害等に限らず、不法行為全般に関して精神的損害があれば、これに対する慰謝料が広く認められています(民法710条)。しかし、所有権その他の財産権の侵害にあっては、原則として精神的損害は発生しないか、あるいは、たとえそれが発生したとしても財産上の損害さえ損害賠償金によってカバーされさえすれば十分であると考えられており、慰謝料は原則として認められていません。
女子外貌醜状による慰謝料
外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)とは、文字通り「外貌」に「醜状」が残ってしまった場合の後遺障害をいいます。「外貌」とは、頭や顔、首など日常的に人の目に触れる部分のうち腕や足以外の部分、つまり、手足以外で人目に触れる部位のことをさします。そして、「醜状」とは、人目につく程度を超えて瘢痕(あばた)や線状痕(線状の傷跡)などの傷痕が残ることをいいます。
このような状態が残ってしまった場合、精神的な苦痛に加えて、普段の仕事にも影響が出ることが考えられます。そこで、人目に触れる部位に、人目につく程度以上の傷痕が残ってしまった場合には、外貌醜状という後遺障害を認定し、その精神的な苦痛(後遺障害慰謝料)や、将来の職業に対する影響(逸失利益)について損害賠償が認められることになります。
一部連帯
損害賠償請求訴訟が係属中に、共同不法行為者としてはその責任負担割合を求める裁判を提起することもあります。そのようなときに連帯して責任を負う部分が限定されることがあります。
一括払制度
自動車保険・自賠責保険への二重の保険金請求手続きを簡便化し、保険金の支払を迅速・確実に行って被害者を救済するために採られている制度を指します。一括請求という表現をすることがあり、この制度を利用すると、保険会社から直接に病院や治療院に治療費が支払われることになります。
逸失利益
本来得られるべきであるにも拘らず、不法行為や債務不履行などで得られなかった利益を指します。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われることがあります。
逸失利益算定方法
逸失利益とは、後遺障害を残したことによって減ってしまった収入を補償してもらう性質のものです。本来、現実に収入が発生していなければ損害も発生していないとする考え方もあるのですが、現実に減収がないからといって将来の減収の可能性について一切考慮せず切り捨てることは被害者にとってあまりに酷だと言えることから、現実に収入が減っていなくとも、 それは被害者本人の努力によるものであると評価して、労働能力を喪失した事に対する慰謝料的な意味合いで逸失利益が算出されているのが現状です。
外国人の逸失利益
被害者が日本においてどの程度就労可能なのか、により判断いたします。すなわち、(1)金額的にそれだけの収入を得る蓋然性、(2)期間的にそれだけの期間日本で収入を得る蓋然性の判断が重要となります。
女子外貌醜状による逸失利益
女子の外貌に醜状が残ってしまった場合に認められることがある逸失利益です。女子の現在の職種、将来の就職、昇進、昇給、昇格及び転職の可能性を含めて労働能力喪失、逸失利益性を考える傾向にあり、醜状痕の存在のために配置を転換させられたり、職業選択の幅が狭められるなど、労働能力に直接的な影響を及ぼす恐れのある場合にはこれを肯定するとの理解になっております。なお、近時、男性についても認められる場合があることを肯定した裁判例があります。
一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構
平成13年に被害者保護の充実を目的として自動車損害賠償保障法の改正が審議された中で、自賠責保険・共済から支払われる保険金・共済金等に関して発生した紛争を適確に解決するため、公正・中立な判断を行う第三者機関の創設が求められました。
これを受け、平成13年12月26日に財団法人として許可され、平成14年4月1日に改正施行された自動車損害賠償保障法に基づく「指定紛争処理機関」として国土交通大臣及び金融庁長官の指定(自賠責法23条の5)を受けて、裁判外紛争処理機関として本機構が設立されました。また、平成23年4月1日に一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づき、一般財団法人に移行しました。
違法収入
現実に収入があっても、その所得が違法に得られた場合には、交通事故による傷害でその収入が得られなくなったとしても、違法収入部分は損害として認められないのが原則です。
違法性
違法性の判断基準
形式的には、法規範に反している性質をいう。ただし、違法性の本質については先鋭な争いがあり、それに従って定義(特に、実質的な意味における違法性の定義)も変わってきます。
違法性阻却事由
通常は法律上違法とされる行為について、その違法性を否定する事由をいう。日本では、民法上のものと刑法上のものがある。
医療過誤の共同不法行為
交通事故による受傷と医師の医療過誤が客観的に関連している場合成立する場合があります。
内払制度
対人賠償保険会社が、損害賠償の確定前に、治療費、休業損害等の支払いをすることをいいます。約款に根拠を置くものではなく、対人賠償保険会社のサービスによるものですので、保険会社と相談をしてみてください。
上積み保険
対人賠償保険は、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害が、自賠責保険・共済によって支払われる金額を超過する場合に、その超過額を支払う保険となります。この点から、上積み保険と呼ばれている。
運行供用者
自己のために自動車を運行の用に供するもの(自賠法3条本文)のことであり、自動車について運行支配を有し、運行利益の帰属する者です。
運行供用者責任
人身事故について、自動車の運行供用者に認められる責任です。①事故及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと、③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと、の3点を証明しない限り、被害者に対して損害賠償責任を負わなければなりません。
使用者の運行供用者責任
従業員による自動車の運行につき、使用者に運行支配・運行利益が認められるかが問題となります。
担保権者の運行供用者責任
自動車について所有権留保している所有名義人は運行供用者責任を負わないと解されています。
元請人の運行供用者責任
- 元請人と下請人間の契約内容
完全に元請人がイニシアチブをとり、下請業者の独自性に欠け、実質的には元請人の被用者と同様に利用するような契約内容であれば、運行供用者責任が認められる場合があります。 - 専属的従属関係
一般的に専属的従属関係が認められれば、実質的には元請人の被用者と同様に、運行供用者責任が認められる場合があります。 - 企業間の一体性
出資、役員派遣、営業財産の貸与、自動車保険場所の提供など、企業としての緊密な一帯性が認められる場合は、責任も認められます。 - 具体的指揮監督関係
具体的な下請け作業の際、現場において、元請人やその関係者が下請人を指揮監督している場合、その程度によっては、元請人の運行供用者責任が認められます。
レンタカー業者の運行供用者責任
運行支配と運行利益が認められるので責任は免れないとされています。
運行によって
- 運行に際して説
運行によって、を運行に依って(に際して)と捉え、運行と生命、身体の侵害(事故)との間に時間的・場所的近接性が損すれば足りるとする見解です。 - 事実的因果関係説
運行によって、を運行に因って(因果関係)と解したうえで、運行と事故との間に事実上の因果関係があれば足りるとする見解です。 - 相当因果関係説
自賠法が民法709条の特別規定である以上、709条における因果関係と同様に、運行と生命・身体の侵害等の間の因果関係としては相当因果関係を要するとする見解です。
運行利益
自動車を運行することによって事実上の利益を得ることをいいます。
運転助手
自動車の運転者の支配下にあって運転に参与し、運転行為の一部を負担する者をいいます。
運転助手の責任
運転助手は、他人のために自動車の運転の補助に従事しているのですから、運行支配を有せず運行利益も帰属しませんので、運行供用者には当たりません。したがって自賠法3条による損害賠償責任は負いません。
運転代行業者
夜間、飲酒して酔った顧客の自動車を、顧客を乗車させて、運転を代行する―ビスを提供する業者をいいます。
ADR
ADRは、Alternative* Dispute Resolution の略称です。また、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」では「裁判外紛争解決手続」と規定されています。
※「Alternative」ではなく「Appropriate」の略とする考え方もあります。ここでは、特段の断りのないかぎり、訴訟手続によらないものを裁判外紛争解決手続とします。
SAP
以前は、損害保険会社等が共通の任意保険約款を使用していたため、任意保険は担保される危険の範囲(特約の範囲)によって、BAP、PAP、SAPの3種類に分類されました。
営造物責任
公の営造物の「設置または管理に瑕疵があった」こと、「他人に損害を生じたこと」、そしてその瑕疵と損害発生の間に因果関係があることが必要となります。